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東京高等裁判所 昭和61年(行ケ)301号 判決

請求原因一(特許庁における手続の経緯)、二(1訂正審決前の本件発明の特許請求の範囲、2訂正審決後の本件発明の特許請求の範囲)、三(本件審決の理由の要点)及び四(本件審決の取消事由)のうち1(訂正審決の経緯)の事実は、当事者間に争いがない。

前記当事者間に争いのない事実によれば、本件発明については、訂正審決の確定により、本件明細書の特許請求の範囲の記載が原告ら主張のとおりに訂正され、特許法第一二八条の規定に基づき、特許出願当初から本件発明の特許請求の範囲は右訂正された特許請求の範囲(請求の原因二2)のとおりのものとみなされる。

そして、右訂正された特許請求の範囲によれば、本件明細書の特許請求の範囲は、訂正審決前の特許請求の範囲(二)に、「切断機に設けた原藻タンク内の海苔原藻を切断機へ自動的に送り込」むこと、及び研ぎを行つた「海苔原料懸濁液を、調合機の原料タンクの上方に設けた回転篩へポンプで汲み上げて送り、回転篩によつて脱水した海苔原料をその回転篩から調合機の原料タンクに直接落下させ」ることを新たな構成要件として付加したものであるところ、本件審決は、この点について判断することなく本件発明の要旨を訂正審決前の特許請求の範囲(一)及び(二)(請求原因二1)記載のとおり認定した上、本件発明の特許をもつて特許法第二九条第二項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第一二三条第一項第一号の規定に該当し、その特許を無効とすべきものである旨判断したものであつて、本件審決には、訂正審決の確定により結果的に本件発明の要旨認定を誤つた違法があり、この違法は審決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

よつて、本件審決の違法を理由にその取消しを求める原告らの本訴請求は正当としてこれを認容することとする。

〔編註その一〕 本件に関する特許庁における手続の経緯は左のとおりである。

原告らは、名称を「海苔抄造方法」とする特許第八三一七一六号発明(昭和四七年三月一一日出願、昭和五一年二月二〇日出願公告、同年一〇月一二日設定登録。以下、「本件発明」という。)の特許権者であるが、被告は、昭和五四年三月三一日原告らを被請求人として、本件発明について特許無効の審判を請求し、昭和五四年審判第三四九八号事件として審理され、昭和五九年二月二七日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決がなされたが、右審決は、東京高等裁判所が同裁判所昭和五九年(行ケ)第一一〇号審決取消請求事件について昭和六一年一月二三日に言渡した判決によつて取り消され、右判決は確定した。そこで、右審判事件について、さらに審理された結果、昭和六一年一二月四日、「特許第八三一七一六号発明の特許を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)があり、その謄本は同年一二月一三日原告らに送達された。

〔編註その三〕 本件における特許請求の範囲は左のとおりである。

1 訂正審決前の本件発明の特許請求の範囲

(一) 海苔原藻を切断機にて切断して調合機の原料タンクに供給し、調合機により、原料タンクから回転する分割車等で桝で計量するように連続しかつ自動的に供給した定量の海苔原料に対し一定比率の水を注いで流し落し所定濃度の原料液の調合を行い、調合された原料液を抄機の原料タンクに貯留させ、調合機の原料タンクに設けた海苔原料の量を検出する検出装置により切断機の運転をON・OFFに制御し、抄機の原料タンクに設けた原料液の量を検出する検出装置により調合機の運転をON・OFFに制御し、海苔原藻の切断より抄造迄を一貫して自動的に行うことを特徴とする海苔抄造方法。

(二) 海苔原藻を切断機にて切断して洗滌タンクに供給し、該洗滌タンクにて海苔原料の洗滌と研ぎを行つた後脱水して調合機の原料タンクに供給し、調合機により、原料タンクから回転する分割車等で桝で計量するように連続し、かつ自動的に供給した定量の海苔原料に対し一定比率の水を注いで流し落し所定濃度の原料液の調合を行い、調合された原料液を抄機の原料タンクに貯留させ、調合機の原料タンクに設けた海苔原料の量を検出する検出装置により切断機の運転をON・OFFに制御し、抄機の原料タンクに設けた原料液の量を検出する検出装置により調合機の運転をON・OFFに制御し、海苔原藻の切断より抄造迄を一貫して自動的に行うことを特徴とする海苔抄造法。

2 訂正審決後の本件発明の特許請求の範囲

切断機に設けた原藻タンク内の海苔原藻を切断機へ自動的に送り込み、送られた海苔原藻を切断機にて切断して洗滌タンクに供給し、該洗滌タンクにて海苔原料の洗滌と研ぎを行つた海苔原料懸濁液を、調合機の原料タンクの上方に設けた回転篩へポンプで汲み上げて送り、回転篩によつて脱水した海苔原料をその回転篩から調合機の原料タンクに直接落下させ、調合機により、原料タンクから回転する分割車等で桝で計量するように連続し、かつ自動的に供給した定量の海苔原料に対し一定比率の水を注いで流し落し所定濃度の原料液の調合を行い、調合された原料液を抄機の原料タンクに貯留させ、調合機の原料タンクに設けた海苔原料の量を検出する検出装置により切断機の運転をON・OFFに制御し、抄機の原料タンクに設けた原料液の量を検出する検出装置により調合機の運転をON・OFFに制御し、海苔原藻の切断より抄造迄を一貫して自動的に行うことを特徴とする海苔抄造方法。」

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